心裡留保

意思契約の項で説明したとおり、意思表示によって、契約などが成立します。

しかし、人は,真意でない意思の表示(=ウソの意思表示)をすることもあります。
これを、「心裡留保(しんりりゅうほ)」といいます。

では、この心裡留保は、有効でしょうか?無効でしょうか?

例えば,家を購入したいと考えたAさんが、購入資金を銀行から借りようと思って銀行へ行き、「家の購入資金○○円を貸して下さい。」と申込の意思表示をしたとします。

銀行は,”Aさんには貸したくないから、貸さない。”と決めていたにも関わらず、担当者はちょっと喜ばせてみようと、「いいですよ」とウソの承諾(心裡留保)をしました。

ウソの承諾を信じたAさんは、家を購入する契約を成立させ、今住んでいる所も退去することにしました。

もし、ウソの意思表示は意思が無い(真意ではない)から無効とされるのであったら、
Aさんは、住む所もなくなる上に、家を購入する契約も解除されて、損害賠償も請求されることになりかねません。

このように、意思表示が真意でないという理由で効力が否定されてしまっては困るので、
心裡留保は、原則として有効とされています。
(民法93条1項本文)

ただし、相手方(ウソの意思表示をされたひと)が表意者(=意思表示をしたひと)の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は無効となります。
(民法93条1項ただし書)

Aさんが,”担当者はウソの承諾をしているな”と知っていれば、「いいですよ」という銀行のウソの意思表示は、無効ということになります。

法律用語

前の記事

公租公課
法律用語

次の記事

遡及