執行猶予

刑事事件の裁判の判決で、その刑が3年以下の拘禁刑・50万円以下の罰金のときには,「執行猶予(しっこうゆうよ」」が付くことがあります。

執行猶予とは,
「本当はすぐに刑を受けてもらう(刑務所に収容するなど)ところだけど、特別にすぐには刑を執行せず、猶予の期間は様子を見ます。」
というものです。

執行猶予付きの判決となった場合には、判決で言渡された執行猶予期間、罰金以上の刑に処せられるなどして執行猶予を取り消されることなく、無事に経過すると,刑は執行されないことになります。
つまり、執行猶予が付かなければ刑務所に入るなどしなければいけなかったのに、執行猶予が付いて、執行猶予の期間が何事もなく過ぎると、全く刑を受けなくてよくなるのです。

・言渡される執行猶予の期間は1年~5年です。
・執行猶予の期間中は,保護観察に付されることもあります。

執行猶予の判決は、
「被告人を懲役3年に処する。裁判確定の日から5年間刑の執行を猶予する。」
という感じで言い渡されます。
(刑法改正により2025年6月1日から従来の懲役・禁固は「拘禁刑」となりました。まだ、改正後に「拘禁刑」の言い渡しを見たことはないのですが、
「被告人を3年の拘禁刑に処する。裁判確定の日から5年間刑の執行を猶予する。」
などと言い渡すのでしょうか。)

以前は、執行猶予には全部の執行猶予(言い渡された刑の全てについて、刑の執行が猶予される)しかなかったのですが、刑法改正により「刑の一部の執行猶予」を言い渡すこともできるようになりました。

執行猶予のつかない判決を「実刑判決(じっけいはんけつ)」といいます。
実刑判決では、猶予はありませんから、言い渡された刑のとおりに刑が執行されます。
(拘禁刑であれば、刑務所に収容されることになります。)

せっかく執行猶予となっても、執行猶予期間中に罰金以上の刑に処せられると,執行猶予が取消されてしまうことがあります。
執行猶予期間中に車の運転をする場合には、特に注意が必要です。

法律用語

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