求刑

「求刑(きゅうけい)」とは,刑事裁判において、検察官が裁判所に対して,被告人には,このくらいの刑罰を科すべきであるという意見を述べることです。

検察官は,刑事事件の証拠調べが終わったあと,「論告(ろんこく)」と言って事実及び法律の適用について意見を述べます(刑事訴訟法293条1項)。
(具体的には,証拠調べの結果,どのような事実があったと証明されたのか,どのような犯罪が成立するのかなどについて,意見を述べます。)

その最後に,例えば
 「被告人を懲役5年に処するのを相当とします」
というように,どのくらいの刑を被告人に科するべきかの意見を述べるのですが,その部分を求刑と呼んでいます。
(ちなみに、改正刑法では、「懲役」、「禁固」が一本化して「拘禁刑」となります。)

裁判所は,検察官の論告・求刑,弁護人の弁論を聞いたうえで,判決を決めます。

求刑は,検察官の単なる意見であり,裁判所は求刑に一切拘束されません。
求刑のあとで,被告人やその関係者が弁護士に「懲役3年と言っていましたが,懲役3年と決まったのですか?」などと質問してくることがよくあるのですが,求刑は検察官の単なる意見(検察官の希望する刑)であり,実際の刑は裁判所の判決によって決まります。

裁判所は,求刑の半分の刑にすることもできますし,求刑を超える刑にすることもできます。
例えば、懲役3年の求刑に対して,裁判所は,法定刑の範囲内であれば,懲役1年の判決とすることも、懲役5年の判決とすることも可能です。

しかし,実際には,裁判所の判決は検察官の求刑の8割程度になることが非常に多く,求刑を超えたり,求刑の半分を下回ったりする判決はほとんどありません。

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